2006年 04月 01日
いきなりですが、僕は中古車が大好きです。 今までに実に沢山の数の中古車を乗り継いで来ました。 その数は常識の範囲をはるかに越えていることは間違いがないと思っています。 つまり、人にお話しするのが恥ずかしいほどの台数ということです。 学生時代に、中古並行専門の怪しいクルマ屋でバイトをしていたことがありました。 女の子に囲まれるのではなく、中古車に囲まれて生活をしていました。 そんな環境だったので、クルマ複数台所有体制は20歳の頃に構築されています。。 卒業して就職をし、初めて頂いた給料の少なさに唖然とした程、学生の頃には稼ぎがありました。 裏を返せば、当時の中古並行車が暴利の固まりのようなクルマだったということにもなります。 車種は書きませんが、当時、店頭で250~300万の中古並行物の原価は、日本の保安基準に適合させる為の緒改造費やガス検に合格させる為の諸費用を含んでも90~150万位だったと思います。 当時の欧州モノの中古並行車で、特に走行距離が進んでいる玉は、アウトバーンを筆頭に多量に撒かれた塩カリの関係で下回りは錆びだらけで無惨なものが殆どでした。 それをリフトアップして、黒のアンダーコートを塗りたくって誤魔化したりしていました。 室内はマジックインクやマニュキアや靴墨を巧みに使用してリペアしていました。 この作業は、今でも僕の特技になっていますが、いずれにせよ数ヶ月で色落ちしてしまいます。 敢えて書いてしまいますが、メーター戻しも当たり前の世界でした。 メーター自体を戻さない方法もありました。 たとえば5台の同一車種の在庫があるとします。 ガワ(外装)の良い順番に売値は高くなれるハズなので、ガワが一番良い個体のスピードメーターと、5台の中で一番距離が少ないメーターを交換します。 そして内装パーツも他の4台の中でもっと綺麗なものがあれば、それを取り外して組み直していけば、上辺だけの極上物が出来上がります。 2個1(ニコイチ)という言葉は有名ですが、現実には3個1(サンコイチ)もあれば、このように5個5(ゴコゴ)もあります。 ご存知のように、2個1や3個1になるのは、事故車を起こす場合が殆どです。 起こすという言葉の意味は、致命的な故障を抱えてしまったクルマや、事故によって不動になってしまったクルマや、燃料漏れ等で炎上してしまったクルマ・・・・・つまり死んでしまったり眠ってしまっているクルマから、良いとこ取りをして、1台のクルマとして生を与える・・・・・つまり眠りから目覚めさせるというのが語源のようです。 現代では、旧車を復元させる場合にも同じような方法が行われたりしますが、この場合はベース車両があって、用意した部品取り車からパーツをモギ取って仕上げて行くワケで、基本的な考え方は同じであって、目指す方向も同じであっても、その趣旨は大幅に違うことだと思っています。 単純に旧車の場合では、レストアをするという単語の中にククッテしまった方が誤解がないかも知れません。 近年は、盗難車に事故車のシャシーナンバーを貼り付けたりする場合もあるようなので、怖い世の中になったものだと思っています。 また起こすという言葉は、単純に1台の事故車を社会復帰させる場合にも使われたりするので、同音異語の言葉の一種と僕は受け止めています。 話しは戻って、5個5あるいは4個4から更なる価値を見出す方法も存在します。 4台のクルマに搭載されている4本のスペアタイヤを利用すれば、新品同様のホイール&タイヤで、1セット1台分が出来上がるワケで、これを悪用する方法です。 抜いてしまった4台4本のスペアタイヤを、あらかじめ用意しておいた鉄チンや社外品のホイール4本に載せ代える方法です。 こうすれば、タイヤ&アルミホイール4本/1台分が出来上がるワケで、それを別のルートで処分してしまう。 このように、考えられることは何でもアリアリの世界が、当時の業界の一部には存在していました。 僕は学生でバイトだったので、主犯格にはならなくても共犯者に近かったと深く反省しています。 今になって判ったことは、良い人の廻りには良い人が集まって、良い人の集団が出来るということでした。 反対に悪い人の廻りには悪い人が集まり、それなりの集団が出来るのも判りました。 僕は後者の集団に属していたと、気付くのには若すぎたのだと思っています。 そして、それが間違った甘えだったということも、今になれば判ります。 悪は栄えたことがない・・・この諺の通りに、社長は夜逃げして、数年後に倒産しています。 売り手側の、ありとあらゆる変化球を見てきたので、いざ買い手になった場合には、そうそう騙されるような自分でなくなったことも事実です。 世の中に中古車購入の達人なんて、僕は存在しないと思っています。 達人になってしまったら、もはや店頭で中古車を購入することすら出来ないハズだと思っています。 達人でない僕でさえ、店頭で中古車を購入した経験が殆どありませんので、この考えはあながち間違いではないと思っています。 店頭で購入すれば必ず損をするものがクルマです。 損をすることが判っていながら購入する人が、僕には達人には思えないので、クルマはやっぱり楽しむためのものだと思っています。 僕は、95年に知り合いの大先輩Hさんから、94年型のE36M3を譲って頂いたことがあります。 (このE36M3は、今、振り返って思い出しても最高に楽しいクルマの1台でしたが、それについてはいつか書くことにします) この譲り受けたE36M3は新車並行モノでした。 販売元(つまり輸入元)は、数々のクルマ雑誌に広告を掲載していた、とある大きなショップでした。 このE36M3に乗って、軽井沢に行ったことがありました。 軽井沢に仕事があって、商品説明の為に某メーカーに勤務していた、2人の20代の女性MさんとKさんを、助手席と後部座席に乗せて、僕はルンルン気分で関越道を北上して行きました。 96年のことだと記憶していますので、僕も若かったハズでルンルンになっていたのでしょう。 関越道を走行中に、突然としてステアリングを左に持っていかれました。 それは、追い越し車線から一気に路肩に持って行かれるような強烈な感じでした。 そこそこのスピードで走行していたので、アクセルオフのみで減速しつつステアリング修正しました。 速度がそこそこ落ちてきたと思ったら、次はいきなり、クルマが前後にバタン!ドタン!状態になりました。 僕が路肩にクルマを停車させて降りてみれば、案の定バーストしていました。 左後ろのタイヤのエアーが完全に抜け切っていて、扁平率10前後の超扁平タイヤが出来上がっていました。 タイヤの巾も更に広がりホイール巾を完全に超えています。 パンク以外は何事もなかったので一安心なのですが、タイヤは見事なまでに討ち死にしてしまいました。 僕は、昔から壊れるクルマばかり乗っていたので、こんな出来事ぐらいでは、まるで動揺しません。 壊れるクルマはまだましで、壊れまくるクルマの経験も多いので、壊れることには、快感すら感じます。 過去の経験から考えても、これは単なるバーストで、僕の手でタイヤ交換をすれば終わりです。 リアトランクからジャッキーとホイールレンチとスペアタイヤを取り出します。 そしてタイヤの交換をし、バーストしたタイヤをトランクに収めれば作業は終了です。 昔は前後のタイヤのサイズが同じだったクルマが多かったので、頻繁にローテーションした経験もあるし、タイヤを外してタイヤハウスの中までワックス掛けをしたり、外したホイールと一緒に混浴を楽しんだりしていた人なので、タイヤ交換の1本ぐらいでしたら楽しみの延長線上になります。 そういえば、996GT3が納車された、その日の夜に左のリアタイヤをバーストしています。 この時も最初は動揺しなかったのですが、途中から慌てまくってしまいました。 つまり、996GT3には車載工具というものが一切載っていないのでした。 スペアタイヤが搭載されていなければ、車載工具も必要とするハズがなかろう? これがドイツ人の発想のようです。 車載工具さえ搭載されていれば、バーストしたタイヤと一緒にタクシーに乗り込み、最寄のGSへ行く! これが、日本人である僕の場合の発想です。 自分の出来る範囲の事は、自分の手だけで行わないと気がすまないタイプの僕の場合は、JAFに頼るとか、エマージェンシーに頼るとかは、いつも最終手段になります。 ガス欠は原因がハッキリしているので、即座にJAFのお世話になっています。 JAFではハイオクの用意がありませんので、レギュラーになりますが。 JAFに頼る前に、996カレラに乗っている親友N君に電話をしました。 結局、彼に996カレラで来て貰いました。 996カレラに搭載されているジャッキーとホイールレンチを借用し、タイヤを外してスタンドに持ち込み、そこでパンク修理して貰い帰宅しました。 翌日、新品タイヤに交換しました。 こうして、僅か80数キロで命途絶えたリアタイヤでしたが、今でも僕の部屋のオブジェとして誇らしげに存在価値を主張していますが、僕には巨大で邪魔な存在価値しか見い出せていません。 そうして、996カレラ用の車載工具一式を購入し、僕が使うまでは未使用だった親友N君の車載工具一式と入れ替えたのは言うまでもありません。 それ以来、僕のGT3は幸か不幸かパンクしていませんが。 いつものことながら、横道に逸れました。 E36M3の話でした。 タイヤ交換を完璧なまでに完了した僕は、男らしく誇らしげに路肩から目的地である軽井沢に向って走り出しました。 さあぁ、美味しいランチに向って全開だぁ! 走り出した突端に、交換した左前のタイヤから何かを引き擦るような音がしていることに気付きました。 『シューシュー』こんな感じの音が聞こえてきました。 スピードを少し上げると音は大きくなっていき、『シューシュー』と鳴り響く間隔が短くなっていきます。 そうです、何かを引きずっていることは間違いがありませんでした。 もはや走れるような状況ではないことに気付きました。 僕は、またまた路肩にクルマを停めて交換したタイヤを見ました。 僕は思わず笑ってしまいました。 つまり、やられていたんです。 4個4から更なる価値を見出す方法。 タイヤ&アルミホイール4本/1台分にして別のルートで処分してしまう・・・・これです。 しかも最悪な方法で、17インチのM3用のアルミホイールを抜いて、戻したのが16インチのホイールだったということです。 装着した時にタイヤが細かったので、スペア用のホイールは違うのかな・・・ぐらいにしか思っていませんでした。 昔、そんなことをしたことなんて、その時点では思い出せなかったし、トランクから出した新品のスペアタイヤが、そんな運命を辿って来たなんて、想像も出来ませんでした。 数だけ合わせるような引き抜き方法は邪道で、インチとPCDだけは合わせるのが最低限のマーナです。 偉そうなことは言えないけれど、僕の中では、これだけは守っていました。 17インチから16インチに履き替えた為に、キャリパーの一部分がホイールの内側と干渉してしまい、『シューシュー』と音を立てて擦っていたというワケです。 世の中って凄く平等なのだと、僕は思っています。 悪い事をすれば、いつの日にか、必ず自分の身に降りかかって戻って来ると思っています。 良い事をした場合は、もともと見返りを望まないことが、良い事なハズなので、自分に戻って来ないかも知れません。 でも悪い事をすれば、必ず自分に戻って来ると、僕は思っています。 やっぱり、戻って来てしまったので、快く自分の置かれた状況を素直に受け入れようと思ったら、笑いが出て来てしまったのです。 こんな事が起きてしまった場合は、前オーナーの大先輩Hさんに責任を転嫁するのは筋違いです。 前オーナーが、大先輩ではなく、後輩であったとしても責任の矛先を向けるものではなく、前オーナーに、この出来事さえ伝えるべきことではないと、僕は思っています。 全オーナーは、単なる善意の第三者であることはモチロンのことなのですが、このE36M3を査定価格で譲って貰っているという大前提があります。 査定価格とは専門店等の買い取り価格を示します。 物流用語で言えば下代のことで、反対に上代とは売値を指します。 査定価格と下取り価格とは、全く別のものなのですが、混同していらしゃる方も多いようですが、この説明は省かさせて頂きます。 個人売買は、引き渡された、その瞬間から全ての責任は購入者側にあります。 こんな些細なことで、相手に不快な思いをさせてしまえば、次の機会がなくなってしまいます。 査定価格で購入したことに感謝することはあっても、クレームをつけることはターブーだと思っています。 では、このE36M3で入れ替えられたスペアタイヤ&ホイールは販売元に交渉出来るのか? これは、単純にムリです。 理由は簡単で、新車を納車する時点で、ホイールを抜き去った業者さんです。 非の全てが業者側にあっても、それを証明するものは、今やなにもありません。 『納車した時には、あったハズですが』これが業者のファイナルアンサーです。 時間がムダだし、仲良くしたい相手でもないので、諦めたほうが得策だと思いました。 こんなことが正々堂々と行われていた時代もあったのですが、E36M3の94年モノで経験したことは以外のことでした。 学生の頃に知り合った多くの人達が、今でも沢山この業界にいらしゃいますが、僕の顔を見ると『よく戻したね!』と、今では、まるで合言葉のようです(笑) 最後に、僕のパンクしたM3の結末を報告させて頂きます。 もはや完璧なまでに、走行不能になっています。 JAFに頼ることになるのですが、こんな場合では、JAFに対して、こちらの要望は正確に伝えないと二度手間になってしまう可能性が高くなります。 『パンクしたから、キャリアカーで来て下さい!』 これだと、殆ど通じなく、何度も状況説明しないといけなくなります。 もうサイズを忘れてしまいましたが、バーストした17インチのタイヤサイズと銘柄を伝えて、このタイヤを売っているショップまでキャリアカーで運んで欲しい!電話で伝えた理由はバーストしたタイヤは粉々に飛び散ってホイールだけの状態で、スペアタイヤも搭載していない! こんな感じなんですが、かなり実情とは違っています。 でも、この方が絶対早いんです。 壊れまくっていたクルマに乗っていたので、JAFのお世話になったことが何回もあります。 何度も経験すると、自分の要求を一番早く伝える方法が自然に身についてきます。 つまり、細かなところがウソつきになっていくのですが、本筋の要件は伝わっているので、ロードサービースマンも納得してくれます。 関越道ですので、30分位でJAFのキャリアカーは到着しました。 路肩で、僕の運転で自走してキャリアカーに載せました。 ここで、ひとつ問題が発生しました。 キャリアカーって3人乗りなんですね! JAFの人、そして僕たちは3人です。 1人+3人=4人です。 4人-3人=1人です。 要するに1人が乗れないということです。 JAFの一人はキャリアカーの運転手で、僕らは、♀2の♂1です。 これは必然的に誰の目から見ても、♂1が溢れます。 ♂1は僕です。 JAFのオジサンは、無情にも、こう言いました。 『お客さん、自分のクルマに乗っていてください』 かくして、僕はキャリアカーに搭載されたBMWの助手席に乗ったのでした。 向った先は、高崎ICで降りた付近にあるというタイヤショップでした。 走行車線を走行中のキャリアカーの荷台に載っているBMWから見る車窓は不思議なものでした。 キャリアカーを追い越して行く観光バスがいました。 観光バスの乗客が、楽しそうに僕に手を振ってくれました。 僕も思いっきり作り笑顔をして手を振りましたが、もうまな板の上の池の鯉状態で、恥ずかしいとも思わなくなり、心から手を振れました。 多分、あの人達は、高速道路を走行する度に、『昔、トラックの荷台に載ったクルマから手を振っていた変わった人がいたんだよ』って語るのだと思います。 ある意味、とても素敵な経験をしたなぁと、今では思っています。 キャリアカーが高崎ICで本線から離れ、料金所に着きました。 『お客さん、通行券を渡してください』 知らなかった!まるで知らなかった! こんな場合でも高速料金支払うとは、知らなかった! かくして、僕は助手席のドアーを開けて、料金所のオジサンに通行券を渡し、通行料金を支払ったのでした。 これって、最高の経験でしょうかね?
by seiuchi-porsche9
| 2006-04-01 23:57
| クルマ雑学
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