戦闘的に走れ!

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2007年 03月 14日

◆前編 ときにはフェラーリ! そしてF430と512TR !

先月の27日、996ターボ乗りの・親友K君のもとに、F430(MT)が納車されました。

K君も仕事が忙しいようで、まだ300キロほどしか乗っていないそうです。
下の写真は、納車直後に撮影しました。
◆前編 ときにはフェラーリ! そしてF430と512TR !_f0056835_21234979.jpg

K君は、IT関連の会社を経営していて、知り合ってから丸6年が経過しました。

K君との最初の出会いは、今でもよく覚えています。

彼との出会いを書くには、僕の仕事のことにも触れてしまうので、チョットばかり躊躇するのですが、僕の仕事のホンノ一部(僕の実態は異業種ですから)なだけなので、書いてしまおうと思います。

僕は内装関係の仕事もしています。
壁紙を貼ったり、ジュータン敷きをしたりするアレです。

6年前の今頃、知り合いのポルシェの営業さんから、電話がありました。

『セイウチさんの所で、壁紙の貼り替えやっていますよね?』
『一応。でも、知り合いの仕事はしませんよ!』
『ターボ乗っているKさん知っていますよね?』
『26歳の若さで新車のターボを買ったという噂だけはね!』
『そのKさんの会社の事務所の仕事なんですけれど、詳しいことは判らないので、話だけ聞いてくれません?』
『場所は何処なの?』
『住所しか判らないのですが、●▲■の●■ビルです。』
『そこって、僕の事務所から徒歩2分だよ!』

偶然にも、僕の事務所の窓越しに見えるビルの2階にK君の事務所はありました。

こうなると、仕事の話だけでも聞きに行かなければイケナイ雰囲気になりましたが、この時の僕は、もう好奇心が湧いて来てしまっていて・・・、社会人として4年目で、独立して2年で、新車の996ターボを買う男と会ってみたいという気持ちの方が大きくなってしまいました。

こうして僕は、指定された日時に、K君の事務所を訪問しました。

広さは60~70坪ほどで、真新しいオフィス家具が整然と並べられた、とても奇麗な事務所でした。
この辺りの相場から想定すると、賃料は90~100万というところでした。
社員も20数名はいたので、固定費が大変だなーと・・・またもや要らぬ心配をしたのでした。

事務所の一角にある応接室で、K君と僕は名刺交換をしました。

仕事の内容は、K君の会社が契約している掃除屋さんの不注意で、壁紙が汚れてしまい、それを貼り替える、という単純なものでした。

K君が希望する貼り替えの範囲を聞いて、それに従って仕事をすれば、本来は全てが完了する内容です。

現在、貼られている壁紙は、幸運にも廃盤品ではなく 『生き柄』 なので、事務所の壁全体を貼り替えるのではなく、部分的に貼り替えても目立たないことは、容易に想像が出来ました。

K君は。
『ここから、ここまで貼り替えてください。大よその金額でいいので判ります?』
僕は。
『お支払いは、どちらからになるのでしょうか?』
K君は、こう答えました。
『掃除を委託している会社からです』

『僕の考えを素直に言わせてもらいます。
掃除をした人は、壁紙を汚そうとして、掃除をしたワケではないですよね。
お話をお聞きしていると、掃除をしていたオバサンが不注意で汚してしまったワケですよね。
そのオバサンが、会社で凄く叱られているのは直ぐに想像ができますよね。
こういう場合の僕は、オバサンの味方に成ります。
多分、K社長のお母様と同じぐらいの年齢のオバサンの味方になりたくなります。
そもそも、チョットした不注意で隣に駐車したクルマがドアーを開けて、自分のクルマのドアーにエクボを作られてしまったとしても、全塗装させますか?
飛び石キズが出来たからといって、車両保険で全塗装させますか?』

『セイウチさんの会社では、お客の要望に答えないのですか?
僕が望んでいる通りにやってくださいとお願いしているんですが?』

『それってクレームですよね。
そもそも僕のところの職人が貼り替えたとしても、100点満点の仕事は出来ないワケですよ。
100点を目指しても、90点しか取れないんです。
判らないと思いますが、90点しか取れないから、仕事が続けられるワケです。
でも、その仕上がりに100点を付けてくださる人もいるワケです。
でも、施工している本人や、僕にとっては90点以下しか思えないんです。
僕と大きく感性が違う人の仕事をやっても、後でモメルだけですから、今回の仕事は辞退させて貰います。
それと、仕事をしないから言う訳ではありませんが、貴方の態度は大き過ぎます。
貴方が仕事を頼む人、僕が仕事を貰う人というのは判りますが、その上から物を言う物腰は、僕には耐えられません。
僕が頭を下げられるのは、この仕事で得た利益の範囲だけです。
僕の仕事はリピーターの元に成り立っています。
リピーターに成って頂けるのは、大きく儲けていないからです。
僕がお辞儀が出来るのは、その儲けの範囲だけでなんです。
そんなふーに思うのがイヤなので、僕はお客様とお友達になります。
最初から、リピーターにも成って欲しくない人の仕事はしませんので御了承してください。
多分、友達になっても喧嘩することになるので、これも可能性がないのは、既にK社長も判っていますよね!』

今から、思うと僕も言いたい放題のことを言って帰ってきてしまいました。
でも、クレームが多い人の仕事をすれば、些細なことがクレームになるのは、目に見えているので、僕は断ってしまいました。

僕は、ひとたび友達になってしまったら、絶対に喧嘩しません。
正確に書くと、過去に友達と喧嘩をしたことも数回ありました。
でも、必ず以前のように修復します。
理由は簡単で、皆さん魅力的な人ばかりですから、勿体ないんです!

その日の夜にK君から電話がありました。
『もっと怒ってくれません!』

この時に、1時間以上話したのですが・・・。
独立してから、全てを自分で決めているけれど、本当は、どれが正しいか判らない状態でも、先ずは決めなければイケナイ状態なのだと。

そんなワケで、僕はK君の仕事を受けてしまいました。
その内容はというと、モチロン僕が決めた貼り替えの範囲です。

ワザワザ売上を減らして仕事を取ったワケですが、これが僕のスタンスですから、仕方がないことなんですが、それでも知り合いからの紹介での仕事は、気が進まなかったので、K君の会社に仕事を頼むことにしました。

僕の支払うべき金額が、受け取る金額よりも大きくなったほうが、僕は気分的に楽なので、僕個人用のパソコン1台とプリンター1台と、諸々のネット接続一式を発注しました。

発注方法は、全てお任せにしました。

K君の会社の工事部隊が、午後からやって来るという約束の日がきました。
午後4時になっても、まだやって来ませんでした。
工事部隊の3人が、僕の事務所にやって来たのは、午後5時頃でした。

先ずは、3人とも靴の脱ぎ方がなっていないので、ここで小言です!
作業時間を聞くと、2時間ほどということでした。
2時間ということは、19時頃には作業完了ということになります。

20時になりました。
ド素人の僕から見ても、まだまだ到底終わりそうもないのは明らかでした。

『事務所に何人残って仕事をしているのか電話してみて?』
何人残っていたのかは忘れてしまいましたが、たしか8人だったような記憶があります。

『●▲のセイウチですが、かつ丼4個お願いします。そして▲●ビルの2階にある▲■会社の事務所に、かつ丼を8個お願いします。支払いは、まとめてこちらでします。』
僕は、こんなふーに出前を頼みました。

結局、作業が終わったのは23時過ぎでした。
僕の事務所が、コンクリート造りの3階にあって、更に室内がチョット複雑に改造されているという事実があったとしても、下見もしないで作業をしたK君の会社に非があることは事実です。

でも、過ぎてしまったことを怒っても、なにも生まれません。
怒った後には、多分、虚しさが残るだけだと思っています。

でも、格好良く書いているだけで、本当は違うのです。
自分も、いつ間違いや、勘違いや、不注意を起こして、どんな迷惑を掛けるか判らないと思っています。
そんな時に、怒られたくないというのが本音だと思っています。

以前にも書きましたが、僕は父親に怒られたことがなく育てられています。
怒られた経験は、22歳の時に一度あるだけです。
それは、今でも強烈に記憶に残っています。
記憶の片隅に残るという言葉がありますが、これは記憶の中心に残っています。

怒らないというような、神様みたいな生活は出来るハズはないので、僕は小言は言います。
小言と怒ることの違いは、あくまでも僕の中での線引きですので、本当は僕は怒ってるように思われているのかも知れません。
でも、僕の中では小言だと信じています。

またまた話が横向きましたね!

月末になって、K君の会社から請求書が届きました。
パソコンや、プリンターや、ルーターなどの機種名が書かれた請求書で、その全ての欄が、空白になっていました。
各項目の欄が空白の請求書は、当然の如く、請求金額も空白のままになっていました。

僕は、やられたと思いました。

僕は、K君に直ぐに電話を入れました。
『請求書の金額がないんだけれど?』
『迷惑ばかり掛けてしまったので、お気に召すままで!』
『じゃーあ今回は無料ということで、どうもありがとう!』
僕は、こうして電話を切りました。

翌日に、パソコンや、プリンターなどの商品の定価を調べて、その定価の合計金額に10万円を加算した金額を、K君の会社に振り込みました。

K君から電話が来ました。
『これじゃー、また僕の負けじゃないですか!』
『引き分けじゃなーい!』

その日から1週間ほど、パソコンの苦手な僕の家庭教師として、K君は僕のところにやって来ました。
K君とは、そんな奴なんです!

とっても誤解されやすい奴ですが、とってもいい奴です!
僕と同じで敵も多いかも知れませんが、そんな奴なんです!

そんなK君が、一昨年の暮れにF430を注文したと言い出しました。

K君は、F430を買いたいと思っているというような、物事の過程を話すことはしないタイプで、いきなり注文したという結果から話すタイプの人ですから、それほど驚きはしませんでした。

『前から欲しかったんだ?』
『仕事でコーン■のそばを通って、約束の時間まで時間があったので、初めて行ってみたんですよ。
セールスの人と話をしているうちに、ショールームの中でエンジン掛けてくれたんですよ。
僕はこういうのに弱いので、その場で契約しちゃいました。』

K君の云わんとすることが、僕にはよく判りました。
コーン■は、常連さんにはショールームでサービスされるドリンクも違うし(ケーキが付く)、ことフェラーリに関して、脈がなさそうなお客さんには、試乗車は予約制ですと説明するようなディラーとして有名なワケです。
それを本丸のショールームに初めて行って、ショールームでエンジンを掛けて貰ったワケですから、K君の心を打たないハズがないワケです。

K君は、物を販売させたら、彼の右に出る者はいないというほどの、やり手です。
(大学時代の歩合制のバイトで、月に50~100を稼いでいたという人ですから)
そんなセールスセンス抜群のK君を、落とし入れたコーン■のセールスの人も凄い人だなと思っています。

今、K君は、セスナとヘリコプターの講習を受けています。
セスナとヘリコプターの免許を取得しようと通っています。
その理由が凄いのです!
会社が倒れてしまったら、セスナとヘリコプターの教官になって食べて生けるハズですから・・・です。
◆前編 ときにはフェラーリ! そしてF430と512TR !_f0056835_21374946.jpg

そんなK君と、先日、一緒に食事に行きました。

『10年間、こんなに一生懸命仕事したのに、僕は何にも残していないんですよ。
これからの10年間、死にもの狂いで仕事しますから、見ていてくださいね!』
K君とは、こんな奴です。

by seiuchi-porsche9 | 2007-03-14 21:38 | フェラーリ


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